研究概要 |
ウェルシユ菌ホスホリパーゼC遺伝子のプロモーター上流に存在する3つのphased A-tractsがRNAポリメラーゼ(RNAP)のαサブユニットのC末端ドメイン(αCTD)とどのように結合するのか明らかにするためには、phased A-tractsとαCTDの共結晶を作成し、構造生物学的な解析を進める必要がある。平成15年度は、αCTDとαサブユニットの大量精製系の確立を試みた。 まずウェルシュ菌RNAPαサブユニット(α,315aa)をコードするrpoA遺伝子とphased A-tractsに結合するC末端ドメイン(αCTD,79aa)のみをコードする遺伝子を大腸菌pET発現系ベクターのpET16bに挿入した。これによりHis-tagをN末端に持つαサブユニットとαCTDを大腸菌を用いて大量合成することが可能となった。実際にそれぞれの蛋白質を大量合成させ、His-tagを利用して精製したところ、1リットル培養液当たり、His-tagged αサブユニットは、27mg、His-tagged αCTDは、7mg程度得られた。標品中には、いくつかの別のタンパクが混在していたため、Mono Qでさらに精製したところ、His-tagged αサブユニット、His-tagged αCTDは結晶化に耐えうるほど精製できたが、最終精製量は、His-tagged αサブユニットは3.3mg、His-tagged αCTDは、2.0mgと少なかった。今後、大量精製法の改良を加える必要がある。そしてphased A-tracts DNA断片(33bp)と25℃で結合させて、その結合体が共結晶化できるほど、安定した構造を保っているか調べ、共結晶化を共同研究者であるJoshua Sakon博士ら(米国:University of Arkansas)に依頼する予定である。
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