(目的) 温泉等の循環式浴槽水においてレジオネラ対策を行う場合、レジオネラがどこで、どのように増殖するかを知ることは大切である。そこで、清掃・消毒によりレジオネラを不検出状態にした貯湯タンクでレジオネラがどのように増殖してくるのかを知るため本研究を行った。 (対象と方法) Legionella pneumophila serogroup 3が検出された貯湯タンクを洗浄、塩素消毒後再び温泉水で満たした。その後1週間ごとにタンク下部から採水し、培養法、臭化エチジウム・CFDA(carboxyfluorescein diacetate)による2重染色法、およびレジオネラ間接蛍光抗体染色法で、レジオネラ生菌数の経時変化を1ヶ月間観察した。また、貯湯前の源泉水についても同様に調べた。 (結果)一般細菌は清掃直後から見いだされ、菌数は一ヶ月間ほとんど変わらなかった。2重染色では清掃直後から生理活性を持つ菌が検出され、アメーバ内に取り込まれていると思われる菌の集団が1週間後より観察された。レジオネラ間接蛍光抗体染色でも清掃直後から菌が観察された。培養によるレジオネラ検出は3週間後から確認され(30CFU/100ml)、菌種はL.pneumophila SG3であった。源泉水からは一般細菌は検出されたが、レジオネラは間接蛍光抗体染色でも培養法でも検出されなかった。 (考察)今回の調査より、タンク清掃後もレジオネラはVBNC状態で生残しており、これらの菌がアメーバに被食されることで培養可能な状態に蘇生していることが疑われた。その期間はおよそ3週間であると推測された。
|