1.パラインフルエンザ2型ウイルス(hPIV2)のV蛋白に変異を入れた変異V蛋白を発現しているHeLa細胞株を樹立し、抗インターフェロン(IFN)活性、STAT蛋白の減少を検討した。V蛋白特異的領域にあるSTAT蛋白との結合部位であるTryptophan-rich-motifに変異を入れたV蛋白、各パラミクソウイルスで保存されている7つのどのCysteineに変異を入れたV蛋白も抗IFN活性を示さず、STAT蛋白の減少も見られなかった。またP/V共通領域では143番目のPhenylalanineがSTAT蛋白減少に重要である事がわかった。 2.Tryptophan-rich-motifの3つのTryptophanに種々の組み合わせで変異を入れたV蛋白を作製し、STAT蛋白との結合を検討した。3つの内2つ以上あればSTAT蛋白と結合でき、抗IFN活性、STATの減少が見られた。 3.V蛋白のウイルス増殖への影響を検討するためEditingの配列を壊し、V蛋白を持たないレコンビナントPIV2を作製した。IFN産生能がないVero細胞においても極めて増殖が悪くV蛋白は抗IFN活性以外にウイルス増殖に関与している事が明らかになった。またV蛋白特異的領域にあるTryptophan-rich-motif、Cysteineに変異を入れたV蛋白を持つレコンビナントウイルスも増殖が悪く、V蛋白特異的領域はV蛋白のウイルス増殖に関与している事が明らかとなった。しかし、P/V共通領域の143番目のPhenylalanineに変異を入れたV蛋白を持つウイルスはVero細胞においてSTAT蛋白を減少させないが、ウイルスの増殖はwtと変わらない。このアミノ酸の変異はSTAT蛋白の減少には重要であるがウイルス増殖には関与していない。
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