1.パラミクソウイルス属のレスピロウイルスであるセンダイウイルスではP、V、Cの遺伝子が同じ遺伝子上に重なっており、他の蛋白に変異を入れる事なくC蛋白に自由に変異を入れる妨げになっている。そこでCとP/Vの遺伝子を分けたレコンビナントウイルスの作製を試み成功させている。パラインフルエンザ2型ウイルス(hPIV2)でも同様にPとV遺伝子を分けたレコンビナントウイルスの作製と試みたがうまくいかなかった。V蛋白はP蛋白と同じ遺伝子上にないと発現できないようで、そのメカニズムを解明する事はルブラウイルスの増殖に大変重要であると考えられる。 2.ルブラウイルスであるパラインフルエンザ4型ウイルス(hPIV4)のV蛋白に関してはその機能に関する報告がなされていなかった。hPIV4のV蛋白を認識する抗体がない事からFlagタグのついたV蛋白を発現させ、hPIV4のV蛋白が他のルブラウイルスのV蛋白と同様に抗インターフェロン活性があるかどうかを検討した。hPIV4のV蛋白もC末領域にTryptophan-rich-motif、cysteine-rich-domainを有するにもかかわらず抗インターフェロン活性は認められなかった。 3.hPIV2とhPIV4のV蛋白のキメラ蛋白を数多く作製し、どの領域をhPIV4のV蛋白に代えると抗インターフェロン活性の機能が損なわれるかを検討した。P/V共通領域のN末側ではN末31アミノ酸以外のどこを代えても機能が失われた。V特異的領域であるC末領域には各パラミクソウイルスV蛋白で保存されているTryptophan-rich-motif、cysteine-rich-domain以外に195-212アミノ酸の領域が重要である事が解った。 4.hPIV2のV蛋白を発現させると核に分布する。この事が抗インターフェロン活性に影響を与えるかどうかを検討した。P/V共通領域の66-72アミノ酸の7アミノ酸が核に分布するために必須であるが、この7アミノ酸に変異を入れ、核に移行しなくなったV蛋白も抗インターフェロン活性は維持されていた。V蛋白の細胞内での分布は抗インターフェロン活性には影響を及ぼさない事が解った。
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