研究概要 |
1.パラインフルエンザ2型ウイルスのV蛋白はSTAT蛋白を減少させ抗インターフェロン(IFN)活性を持つ。このV蛋白の機能に重要なアミノ酸を同定したところ、V蛋白特異的領域ではパラミクソウイルス間で保存されている7個のCysteine、Tryptophan-rich-motifに加え、207番目のPhenylalanineも重要であった。P/V共通領域では143番目のPhenylalanineが重要である事が解った。 2.V蛋白のウイルス増殖への影響を検討するためにEditingの配列を壊し、V蛋白を持たないリコンビナントウイルスを作製した。このウイルスはIFN産生能がないVero細胞においても極めて増殖が悪くV蛋白は抗IFN活性以外にウイルスの増殖に関与している事が明らかになった。また、V蛋白特異的領域に変異を入れたV蛋白を持つリコンビナントウイルスも増殖が悪く、V蛋白特異的領域はウイルス増殖に関与している事が明らかになった。P/V共通領域の変異を持ったリコンビナントウイルスはVero細胞におけるウイルス増殖には影響を与えなかった。 3.機能が解っていなかった同じルブラウイルスであるパラインフルエンザ4型ウイルス(hPIV4)のV蛋白について検討を行った。HPIV4のV蛋白はパラミクソウイルス間で保存されている7個のCysteine、Tryptophan-rich-motifを持ち、STAT蛋白減少に重要な細胞蛋白であるDDBI,Cu14Aとも結合する能力があるにも関わらず抗IFN活性を持たなかった。更にV蛋白以外に抗IFN活性を持つ蛋白がないか検討したが、hPIV4はそのような機能を持っておらず、現在解明されている中では唯一抗IFN活性を持たないパラミクソウイルスである事を明らかにした。 4.V蛋白はV蛋白特異的領域でもNP蛋白と結合し、V蛋白同士の結合もしている事を明らかにした。更にV蛋白とNP蛋白はHIV-1などでウイルス粒子の出芽に関与している事が知られているAIP1/Alixと結合している事が解った。AIP1とV蛋白の一過性の結合がウイルス増殖に関与している事を示唆した。
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