研究概要 |
我々は、ヒトヘルペスウイルス6(HHV-6)の宿主レセプター、ヒトCD46に対するウイルス側リガンドが、HHV-6Aがコードするウイルスエンベロープ糖タンパクgH-gL-gQ複合体であることを見いだした。また、HHV-6B gH-gL-gQ複合体は、ヒトCD46に結合することができず、HHV-6Bの宿主レセプターとしては機能していない可能性が示唆された。HHV-6のウイルスエンベロープには、gH-gL-gQ複合体が存在し、ウイルスの細胞への侵入過程に深く関与していることが我々の研究結果より判明したが、我々はさらにウイルスエンベロープのgH-gL複合体に結合しているさらなる糖タンパクgOが存在することを見いだした(J.Virology,2004,in press)。gOは、βヘルペスウイルスにおいてのみコードされているβヘルペスウイルス特異的な糖タンパクである。さらに興味あることにgQとgOは個々にgH-gL複合体に結合していることが判明した(すなわちgH-gL-gQおよびgH-gLgO複合体が別々にウイルスエンベロープに存在する)。ウイルスがコードするふたつの糖タンパクの三量体が個々にウイルスエンベロープに存在するというのは、ヘルペスウイルスにおいては初めての報告である。この新たに見いだされた複合体gH-gL-gOは、HHV-6A, HHV-6Bの両バリアントに存在することが判明した。故に、このgH-gL-gO複合体はウイルスバリアント間の細胞向性の違いに何らかの役割を果たしている可能性が示唆された。
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