研究概要 |
本研究の目的は、センダイウイルスの蛋白質、特にウイルス粒子形成に重要な役割を果たすマトリックス(M)蛋白質について、出芽に必要なシグナルを同定することである。 1.M蛋白質単独発現による出芽は、センダイウイルスの出芽と同様にプロテアソーム阻害剤に影響を受けるので、ユビキチンが出芽機構に関連していることが伺われる(Watanabe et al.)。また、M蛋白質による出芽は、AIP1によってもっとも影響を受け、Tsg101,Nedd4にはあまり影響されなかったので、AIP1、ユビキチンが関連するエンドソーム膜輸送経路が出芽に関連することが推察される。M蛋白質とAIP1との相互作用、結合モチーフも明らかになった(Shimazu et al.,Irie et al.,both manuscripts in preparation)。 2.M蛋白質以外のC蛋白質について、C蛋白質がAIP1と相互作用して、M蛋白質の作用に加えて出芽を促進していることを明らかにした(Sakaguchi et al.)。AIP1と結合するC蛋白質の領域・アミノ酸残基を同定し、点変異でAIP1と結合できなくなったC蛋白質をもつウイルスを調製中である。 以上のように、パラミクソウイルスの出芽と粒子形成に必要なウイルス蛋白質、それに必要なシグナル、関連する宿主因子が明らかになりつつある。発表済みのものに加えて、さらに残果を論文としてまとめる予定である。
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