研究課題
基盤研究(C)
本研究は、HIV-1アクセサリー蛋白質Vifのプロテアソーム分解によるウイルス複製制御の本態解明を目的としている。具体的には(1)プロテアソーム分解のメカニズム、(2)プロテアソーム分解量の調節のメカニズム、(3)分解のウイルス増殖における意義を明らかにすることを目指し、以下の成果を得た。(1)Vifのプロテアソーム分解を、パルスチェイス実験を用いて生化学的に解析した。Vifには細胞質に存在するフラクションと細胞骨格に結合するフラクションがあることが知られるが、前者はプロテアソーム分解を受けるのに対し、後者は安定であり細胞に蓄積されることを示した。これらの分解は、許容細胞、非許容細胞どちらにおいても同様におきることもわかった。また、HIV-1アクセサリー蛋白質間における比較解析を行い、Vifが最もプロテアソーム分解を受けやすいことを明らかにした。さらにVifのユビキチン化を観察するための系を確立し、Vifのユビキチン化を示した。また免疫沈降実験によりVifとCullin蛋白質の結合を観察し、CullinがVifのユビキチン化に関わる可能性が示唆された。(2)Vif内推定β-ストランド上のアミノ酸の変異体は野生株に比べてさらに分解を受けやすく、かつウイルス増殖性付与能を持たないことがわかった。従ってβ-ストランドの形成が過剰なプロテアソーム分解を抑制し、ウイルス増殖性付与能を保つことを明らかにした。(3)Vifに存在する16個全てのリジンをアルギニンに変えたところ、発現レベルが野生株と比べて非常に高く、かつウイルス感染性付与能がないことがわかった。しかし、この機能の欠損は22および26番目の2つのリジンがウイルス感染性付与に必須であることに起因することがわかり、結局アルギニン変異体を用いて分解のウイルス増殖における意義を示すことはできないことがわかった。
すべて 2005 2004
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