研究課題/領域番号 |
15590421
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
ウイルス学
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
今井 章介 高知大学, 医学部, 教授 (60232592)
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研究分担者 |
黒田 正幸 高知大学, 医学部, 助手 (00253005)
前田 明彦 高知大学, 医学部, 助手 (50335931)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2004
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キーワード | EBウイルス(EBV) / dominant-negative EBNA1 / EBV関連腫瘍 / 遺伝子治療 / アデノウイルスベクター / アポトーシス |
研究概要 |
EBウイルス(EBV)は多様なヒト腫瘍性疾患に関連する。EBV関連腫瘍は臨床的に悪性のものが多く、決め手となる治療法は未確立である。本研究は細胞内に持続感染するEBVの存在自体を標的とする新しい抗EBV腫瘍遺伝子治療法の確立を目的とした。EBNA1は感染細胞内でのEBVゲノム(episome)複製・維持に必須な唯一のウイルス蛋白であることから、我々はEBNA1を標的に定め、その機能阻害により、感染細胞からのEBV episome脱落促進と腫瘍増殖抑制をおこさせる治療戦略を検討し、以下の成果を得た。 1.野生型(wt)EBNA1のN末側の大半を欠如する変異体を構築、アデノウイルスベクターに搭載した。これを用いて、細胞からのEBV episomeの維持/脱落がモニター可能な人為的EBV陽性変換細胞株(リンパ球、上皮細胞)に対し、作製したEBNA1変異体が効率的にEBV episomeを駆逐するdominant-negative(dn)EBNA1であることを確認した。 2.このdnEBNA1がEBV陽性バーキットリンパ腫、T/NKリンパ腫に対しても同様にウイルスを追い出し、それに伴って細胞の増殖も抑制することをin vitroおよびin vivo動物実験で確認した。 3.dnEBNA1はヒトfibroblast、EBV陰性細胞の増殖は阻害しなかった。 4.この腫瘍抑制作用は、wtEBNA1のoriP結合の競合阻害だけでなく、wtEBNA1の転写プロモーターQp活性の抑制によるwtEBNA1のde novo合成阻害とアポトーシス誘導という複数の機序による可能性を見い出した。 以上の成績は、我々の作製したdnEBNA1がEBV関連腫瘍性疾患に対してウイルス特異的に有効、かつ安全な新規遺伝子治療用分子候補であることを示すとともに、従来否定的であったwtEBNA1の発癌活性の有無を検索する上でも有用であると考えられた。
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