研究課題/領域番号 |
15590423
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研究機関 | 創価大学 |
研究代表者 |
高瀬 明 (余田 明) 創価大学, 工学部・生命情報工学科, 教授 (60236221)
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研究分担者 |
渡辺 里仁 創価大学, 工学部・生命情報工学科, 教授 (30129746)
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キーワード | がん / 胸腺 / 腫瘍原性 / LTR / エンハンサー / マウス白血病ウイルス / レトロウイルス / ラット |
研究概要 |
マウス白血病ウイルスA8感染によって誘導されたラットの胸腺腫瘍において、ウイルス遺伝子が宿主染色体の特定の位置に挿入されているのか、ランダムな位置に挿入されているかをサザンブロッティングによって解析した。その結果、ほとんどの胸腺腫瘍において、特定の組み込み位置が存在することが示された。この結果は、A8ウイルスによって誘導される胸腺腫瘍は、ウイルス遺伝子の宿主染色体への挿入によるがん原遺伝子の活性化や修飾によるものである可能性を示唆していると考えられる。 これまでの研究で、A8ウイルスの腫瘍原性を決めるウイルス遺伝子は、LTR内のエンハンサー領域であることが、明らかになっている。A8ウイルスのLTRのエンハンサー領域の構造は、FVa-FVa-FVa-FVb2/NF1-FVcであるが、エンハンサー変異株を作成して、腫瘍原性に関連した遺伝子配列を検索した結果、FVaを含む38bpのくり返し配列が腫瘍原性を増強することが明かとなった。さらに、この腫瘍原性増強のメカニズムは、宿主染色体へのプロウイルスの挿入量の増加よりもむしろ、標的組織におけるがん原遺伝子の直接的な活性化の増大によるものであることが示唆された。 宿主がん原遺伝子の近傍にウイルス遺伝子が挿入されていることが強く示唆されたので、今後、以下の点について検討する予定である。1.近傍のがん原遺伝子の同定。2.ウイルス遺伝子挿入部位の遺伝子配列に共通性があるか。3.A8ウイルスのLTRは、同定されたがん原遺伝子を実際に活性化または修飾しているか。4.胸腺由来リンパ球において、A8-LTR内のエンハンサー領域と相互作用する宿主蛋白の検索。
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