研究概要 |
1 末梢神経に於けるアポトーシスの誘導と神経侵襲性(Mori et al. Rev Med Virol,2004) (1)C57BL/6マウスに神経病原性インフルエンザウイルス(R404BP株、WSN株)経鼻接種後、嗅神経に感染し、JNKカスケード活性化、Fasリガンド発現を介し、アポトーシスを誘導した。この末梢神経系に於けるニューロナルアポトーシスは、中枢神経系へのウイルスの伝播を阻止する宿主側の防御反応と考えられた。 (2)同マウスに2型単純ヘルペスウイルス(HSV-2 186株)経鼻接種後、嗅神経に感染するがアポトーシスを誘導せず、中枢神経系へと伝播し、個体死をもたらした。 (3)同マウスにHSV-2(186株)角膜接種後、三叉神経節ニューロンに感染するが、アポトーシスを誘導せず、中枢神経系へと伝播し、個体死をもたらした。bFGFの発現がIba1陽性ミクログリアに認められた。 2 MAPKとニューロナルアポト-シス(Mori et al. Neurosci Lett,2003) C57BL/6マウスにHSV-2(186株および186株ΔUS3)を嗅球に接種後、中枢神経系ニューロンに感染した。186株ΔUS3感染ニューロンに於いては有意にアポトーシス陽性細胞が多く、US3がJNKを抑制することによりアポトーシスを抑制することが判明した。 3 HSV US11について(投稿中) マウス脳室内に接種後、US11コンストラクトはネスチン陽性神経幹細胞に発現し、US11蛋白は、そのRXPリピートの作用により、周辺のニューロンに侵入、核内に集積した。 4 HSVとアルツハイマー病(Mori et al., J Clin Microbiol, 2004 ; Mori et al., J Med Virol, 2004) 家族性アルツハイマー病患者脳に於いて、HSV-1が再活性化していることが判明、βアミロイドとHSV-1との関連が示唆された。
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