研究概要 |
1)RAG2蛋白のユビキチン化に必要なドメインの同定。 ユビキチンは標的蛋白のリジン残基に結合する。様々なリジン残基のミュウタント蛋白を作製しユビキチン化を検定したが、いずれにおいても、完全にユビキチン化を抑制するまでには至らなかった。すべてのリジン残基がユビキチン化の標的となる可能性が示唆された。 2)RAG2の核外移行に必須のドメインの検索と必要な分子の同定。 我々は、サイクリン-CDKによる490番目のスレオニンのリン酸化がRAG2のユビキチン化および、核外移行に重要であることを見いだしているが、この現象はp27Kip1の核外移行に類似している。p27Kip1の場合、187番目のスレオニンのリン酸化後、Jab1蛋白が結合し、核外へと移行する。Jab1蛋白の細胞内での発現によるRAG2の核外移行を検討したが、核外移行は認められなかった。他の分子の関与が示唆された。 3)他のDNA組換え関連蛋白のユビキチン化の有無の検討。 我々は、His-tagユビキチンベクターを使用したin vivoユビキチン化検出法を確立している。この方法によれば、cDNAを組み込んだ発現ベクターさえあれば、簡単に細胞内での蛋白のユビキチン化が検定できる。すでに検定済みのXRCC4,RAG2以外のV(D)J組換え酵素にはRAG1,DNA-PKcs,Ku70,Ku80,Ligase IV,Artemisなどがあり、また、クラススイッチ関連蛋白としてはAIDがある。現在、これらの蛋白遺伝子の発現ベクターを構築し、いくつかの蛋白がユビキチン化されることを見出している。
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