蛋白のユビキチン化とプロテアソーム依存性の蛋白分解系は蛋白の品質管理、細胞内シグナル伝達系の一つとして近年大きな注目をあびている。我々は最近、V(D)J組換えの中心的な酵素であるRAG2がポリユビキチン化され、26Sプロテオソームにより分解されることを見出した。本研究では、免疫系の組換え現象をユビキチン蛋白分解系の制御という視点からとらえ直すことを目的に、以下の4つの解析を行った。1)V(D)J組換えへの脱ユビキチン化酵素の関与。V(D)J組換え蛋白の一つであるXRCC4に結合する新規蛋白質として、脱ユビキチン化酵素の一つを単離した。この酵素はポリユビキチン鎖を切断し、ユビキチンのターンオーバーを促進する機能を有していた。2)脱ユビキチン化酵素の遺伝子改編マウスの作成。上記タンパク質のin vivoでの機能を解析するために遺伝子改編マウスの作成を試みている。3)DNA組換え関連蛋白のユビキチン化の有無の検討。簡単に細胞内蛋白のユビキチン化を検定できるin vivoユビキチン化検出法を確立し、V(D)J組換え関連酵素のユビキチン化を検討した。その結果、いくつかの蛋白がユビキチン化されることを見出した。そのうちの一つは核移行シグナルの他に核外移行シグナルを有し、RAG2と同様な輸送機構の関与が予想された。すなわち、活性誘導時には核内へ移行し、組換え反応終了と同時に核外へ輸送され、そこでユビキチン化され、プロテオソームで分解されるものと考えられた。
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