模擬患者の参加した医療面接、コミュニケーション学習は、初診外来の形式的なコミュニケーション技能の修得を目標としていることが、これまでの医学教育において一般的であった。我々は学生、医師が鑑別診断をふまえた的確な情報収集と、医師患者関係の確立、さらに患者への説明、同意の取得、困難な内容の説明など、医師に必要とされる高度なコミュニケーション能力を学び、その能力を試験評価することを目指し、そのために必要な模擬患者シナリオの開発と、それを演じ、評価できる模擬患者のトレーニングを行い、実際に学生、研修医、専門医らが模擬患者に対して医療面接を行い、その有用性を検討した。その結果、開発したシナリオは、臨床実習前の学生から専門医に対してもコミュニケーション教育の題材として使用することが可能であることが明らかとなった。模擬患者は、従来、5項目程度の簡単なコミュニケーションに関する項目を評価するのが通例であったが、我々は教員が行う医学情報や面接の技能に関する評価項目も含めて評価項目を20項目程度に増加し、面接直後に模擬患者がどのような評価を行うことが可能であるかを検討した。模擬患者は、面接全体の内容を良く記憶しており、評定尺度による全項目の評価が可能であった。現在、OSCEでの医療面接の評価結果を用いて、教員評価との異同、信頼性の検討を行っており、将来的には医師である教員の評価に代わって、模擬患者が全ての評価が行う可能性を評価する予定である。 カリキュラムの検討は特に、医学部卒業時の医療面接、コミュニケーション技能の目標設定とその評価としてのOSCEを計画している。身体診察を含めたシナリオを多数開発し試験に用いることで、信頼性の高い評価をすることを検討している。
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