研究課題/領域番号 |
15590456
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
赤林 朗 東京大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (70221710)
|
研究分担者 |
児玉 聡 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (80372366)
|
キーワード | 臓器移植 / 生体肝移植 / 心理・社会的側面 / 質的研究 / 医の倫理 / 医療倫理 / インフォームド・コンセント |
研究概要 |
平成16年度は、国内外の文献調査に引き続き、昨年の予備調査の結果を踏まえた本調査を実施した。成人間生体肝移植においては、ドナーの意思決定過程においてさまざまな葛藤や家族間の軋轢の生じることが予測されるが、これらの仔細について明らかにした研究は世界的にも数少ない。そこで本研究では、ドナーが臓器提供に至るまでの意思決定過程を説明する理論モデルを構築することを目的とした。方法としては、京都大学医学部付属病院における成人間生体肝移植のドナー22名を対象に、約30分から1時間の半構造化面接を行った。面接では、家族に移植が必要と聞いてから、実際に手術を受けるに至るまでの経過について尋ねた。その際の質問項目には、移植の必要性について初めて知ったときの気持ち、ドナー選抜に伴うレシピエントや家族との話し合いの様子、臓器提供に至るまでの不安や迷い、手術直前の気持ち、などが含まれている。インタビューの内容は参加者の了承を得たうえでレコーダーに録音し、逐語録を作成した。分析にはGrounded Theory Approachを採用した。採用した理由は、特定領域に即した理論を生成できる点から、研究結果を実践に活用しやすいためである。分析は最初の面接が終了した時点から開始し、ドナーの意思決定過程を説明する概念の抽出と、それを検証して発展させるデータの収集、つまり面接を交互に継続して実施した(継続的比較分析)。分析過程での洞察を深めるため、毎週2回定期的に行われる移植外科カンファレンスの参加や、移植外科医と移植コーディネーターへの面接も行った(トライアンギュレーション)。現在、全ての面接を終え、ドナーの意思決定モデルを構築すべく分析を継続中である。
|