医療被曝線量低減を目的とした診断用X線装置の品質管理システムの開発

2003 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 15590458
• 研究機関: 大阪大学
• 研究代表者: 松本 政雄 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (50149944)
• 研究分担者: 前田 浩志 広島国際大学, 保健医療学部, 助手 (20330706) ; 小縣 裕二 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (60281127) ; 窪田 英明 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (30234496)
• キーワード: 高分解能CdTe検出器 / 診断用X線装置 / stripping法 / 一次X線スペクトル / カーボン散乱体 / 90°散乱X線スペクトル測定法 / 照射線量減弱曲線 / 乳房用X線装置

研究概要

高分解能CdTe検出器を用いて、診断用X線装置の一般撮影条件下(数十mA以上)での正確なX線スペクトルを測定する方法を検討してきた。撮影条件は、管電圧70kV・管電流50mA、撮影時間1s、撮影回数20〜35回と100kV・20mA、1s、20〜30回とした。スペクトルの補正にはstripping法を用いた。また、定量性の評価のため、種々の厚さのAl板を用いて照射線量を変化させ、透過X線スペクトルを測定して減弱曲線を計算した。その結果、どちらの場合も電離箱線量計の照射線量減弱曲線の値と5%以内で一致した。さらに、ピンホールコリメータを使用するときのアライメントの手間を省く、簡便な一般撮影条件下でのスペクトル測定法として、カーボン散乱体で90°方向に散乱させた散乱X線を測定してクライン-仁科の微分散乱断面積の式から逆算して一次X線スペクトルを求める90°散乱X線スペクトル測定法で求めた一次X線スペクトルとそのスペクトルから計算した照射線量減弱曲線を、直接測定法の測定データと比較検討した。また、乳房用X線装置の一次X線スペクトルを0.05mm径のW(タングステン)のピンホールコリメータを使って直接測定したデータと、1.6mm径のWのピンホールコリメータを使って90°散乱X線スペクトル測定法で求めたデータを比較した。測定条件は、管電圧25kV・管電流120mA、27kV・113mA、28kV・107mA、30kV・100mA、32kV・94mA、撮影時間4s、撮影回数16〜30回であった。スペクトルの補正及び定量性の評価は、一般撮影の場合と同様の方法で行った。その結果、どちらの場合も90°散乱から求めた特性X線のピークは、直接測定の特性X線のピークと比較するとブロードになるが、その形状はだいたい一致することが確かめられた。また、スペクトルから計算した照射線量減弱曲線と電離箱線量計で測定した照射線量減弱曲線は最大12%の誤差範囲で一致することが確かめられた。

研究成果

• [文献書誌] H.Kubota, Y.Asai, Y.Ozaki, H.Arimura, M.Matsumoto, H.Kanamori: "Edge enhancement effect of vision on X-ray-radio graphs made using screen-film systems"Imaging Science Journal. 51. 13-20 (2003)
• [文献書誌] M.Matsumoto, K.Maeda, A.Taniguchi, H.Kanamori: "Measurement of diagnostic x-ray spectra using a high resolution Schottky CdTe detector"Radiation Detectors and Their Uses, KEK Proceedings. 2003-8. 46-56 (2003)
• [文献書誌] 前田浩志, 松本政雄, 金森仁志: "高分解能CdTe検出器を用いて、一般撮影条件下において測定されたX線スペクトルの補正法"医学物理. 23Sup.2. 301-304 (2003)
• [文献書誌] 前田浩志, 松本政雄, 谷口明, 金森仁志: "高分解能CdTe検出器で測定した診断用X線スペクトルの補正"医学物理. 23Sup.2. 305-308 (2003)
• [文献書誌] 松本政雄, 一丸恭伸, 小縣裕二 他8名: "フラットパネルディテクタ(FPD)のMTFの測定法であるスリット法とエッジ法の比較"医学物理. 23Sup.3. 236-238 (2003)
• [文献書誌] 前田浩志, 松本政雄, 谷口 明, 金森仁志: "高分解能CdTe検出器で測定した90度散乱X線からの逆算補正による診断領域一次X線スペクトルの取得"医学物理. 23Sup.3. 204-207 (2003)