研究概要 |
1)性格特性(神経質傾向あるいは攻撃性)と競争条件下における抗不安薬の効果と薬物動態 本試験では、性格特性の分布をもとに、攻撃性の低い群(L群)と高い群(H群)の各6名を対象にした。競争条件にテレビゲーム(野球およびサッカーの対戦ゲーム)を採用し、対戦はL群とH群の組み合わせにより実施した。薬物には、抗不安薬であるlorazepam 1mgを用い、ゲームあるいはビデオ鑑賞(対照条件)開始30分後に服用した。採血は、服薬前から服薬後36時間にわたり経時的に行った。薬物動態値は、非線形最小二乗法を用いたtwo-compartment modelにより算出した。ゲームあるいはビデオ鑑賞前から終了後まで、自覚症状(VAS)と血圧・脈拍数も測定した。L群とH群のいずれの場合にも、ビデオ鑑賞時とゲーム実施時の間にlorazepamの薬物動態値(tmax, Cmax, t1/2,AUC, CL, Vdβ)に有意差を認めなかった。 2)Lorazepamの薬物動態に及ぼす騒音ストレスの影響 健常成人8名を対象にした。被験者は、就眠前の23:30にlorazepam 1mgを服用し、直ちに就寝した。採血は、服薬前および服薬後13時間にわたり経時的に実施した。ストレスは、5種類の騒音(非常ベル音、エンジン音など)を用いて就寝時から1.5時間に負荷した。対照は、ストレスを負荷せずに就寝する条件とした。騒音ストレス負荷により、tmaxの延長および投与後2時間までのAUCの減少の傾向を認め、吸収が遅延していることが示唆された。しかし、Cmaxおよび投与後12時間までのAUCには有意差を認めなかった。
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