研究概要 |
数多くあるプロテン・チロシン・キナーゼ(PTK, protein tyrosine kinase)中からがん細胞のリン酸化に関与すると考えられている、PTK p60^<c-Src>の3次元情報を、Protein Data Bankから入手して、可視化アプリケーションソフトInsightII、および分子内部座標解析手法で検証してところ,活性部LYS295とGLU310が活性部位ポケット内で突起していることが判明した。27種類のインドール誘導体を合成し同酵素(PTK p60^<c-Src>)との相互作用をドッキングシミュレーションで解析したところ、3種類が活性部位LYS295と水素結合を形成して酵素(PTK p60^<c-Src>)とに親和性が存在することが判明した。そのドッキングエネルギーは、-27.13〜-13.77Kcal/molであった。これらインドール誘導体の酵素に対する相互作用の度合いを知るためin vitro阻害活性をELISA法で測定したところ、IC_<50>は、その値の小さい順に1.34μM,21.4μM,215μM,であった。誘導体の構造活性相関の点からすると、R_2メチル基を有する誘導体には活性がなく、よりバルキーなpyrroleやpiperidineで置換した誘導体により強い活性が見られた。最も活性の強かった誘導体は、compound 4で、ドッキングシミュレーションにおける本素結合は、カルボニル基の酸素と活性部位のLYS295間に形成されていた。一方、同様の研究をarylcarboxylicacidおよびarylacetic acid誘導体においても試みた。その結果、側鎖の芳香環とアミド基の間に-CH_2結合を有する誘導体により強い活性が認められた。
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