造血器腫瘍の診断は、形態学的検査に加え、染色体・表面抗原マーカー検査・遺伝子検査等を駆使する必要がある。急性白血病は依然として予後不良のため、早期診断法による早期発見と予後を規定する因子の同定が望まれていた。一方、近年の遺伝子解析の進歩は目覚ましく、中でもDNAマイクロアレイ法は発現プロファイル解析に最適である。本年度における研究はDNAマイクロアレイ法から遺伝子発現プロファイルを解析し、キメラ遺伝子と予後関連遺伝子を統合し早期に診断しうる遺伝子検査法を開発、確立することを目的とした。そのため、1.キメラ遺伝子および予後関連遺伝子を検出するDNAマイクロアレイ法を開発し、2.各種造血器腫瘍培養細胞株において従来法との比較検討からその精度を検定し、3.臨床材料について造血器腫瘍における本DNAマイクロアレイ法の臨床的意義を明らかにした。とくに、本年度はDNAマイクロアレイの設計・開発として(1)キメラ遺伝子、予後判定関連遺伝子、薬剤耐性関連遺伝子等を特異的に検出しうるオリゴチップを設計し、検査用アレイの固定化法を開発した。さらに、本法は微量材料から各遺伝子発現を高効率に検出しうるRNA増幅法による検出系といえる。さらに、1.キメラ遺伝子および予後関連遺伝子を検出するDNAマイクロアレイ法を開発し、2.各種造血器腫瘍培養細胞株において従来法との比較検討からその精度を検定し、3.臨床材料について造血器腫瘍における本DNAマイクロアレイ法の臨床的意義を明らかにすることを目的として検討中である。
|