研究課題
スフィンゴシン1-リン酸(S1P)は血漿中でリポ蛋白と結合して存在することが示されている。そのため、血中脂質濃度の変化に伴ってS1P濃度が変化することが考えられる。血中脂質濃度に変化を及ぼす因子として短期的には食事摂取の影響を考慮する必要がある。また、糖代謝と脂質代謝が関連していること、血中甲状腺ホルモン濃度の変化は血中脂質濃度に大きな変化をもたらすことは良く知られている。これらの要因、疾患とS1Pの血漿中濃度の関連を調べるため、以下の検討を行った。1.健常者の摂食前後の血中脂質(総コレステロール、HDLコレステロール、LDLコレステロール)濃度、血漿S1P濃度を測定し、さらにリポ蛋白質(VLDL、LDL、HDL)並びにリポ蛋白抽出後の血漿(アルブミン)画分でのS1P分布を比較した。2.甲状腺機能異常のある患者の血漿で脂質濃度を測定し、血漿S1P量、さらにリポ蛋白質ならびにリポ蛋白抽出後の血漿画分でのS1P分布を調べた。甲状腺機能変化による脂質代謝変化が血中のS1Pまたはその分布に及ぼす影響の解析を行った。甲状腺機能が正常化した後の長期的な血中S1Pの変化を解析している。3.糖尿病患者血漿中の脂質濃度を測定し、血漿S1P量、さらに、リポ蛋白質ならびにリポ蛋白抽出後の血漿画分でのS1P分布を調べた。糖尿病コントロールの指標である血糖値やHbA1cとの関連性について検討した。健常者ボランティア16名から空腹時に採血し、血中脂質を解析し、S1P濃度定量や分布を調べた。血漿S1P濃度が平均1153nMでありHDL画分に多く分布すること、そしてHDLに結合するS1P量とアポリポ蛋白A-I、A-II量に相関関係がみられ、LDLに結合するS1P量とアポリポ蛋白B量にも相関関係を認めることなどを、Atherosclerosis178(2005)199-205に発表した。
すべて 2006 2005
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Cellular Signaling 18
ページ: 841-850
Atherosclerosis 178(1)
ページ: 199-205
ページ: 19-23