研究概要 |
抗血小板薬として塩酸チクロピジンを用いて,改良型コラーゲンビーズ法で血小板機能を評価し、薬効モニタリングへの応用を検討した. 血小板機能の評価は3回の採血により試みた.すなわち、抗血小板薬の服用前および7日間連続服用後に血液を採取し,更に,連続服用後2週間の休薬期間を設け,採血を行った. 評価法としてコラーゲンがコーティングされたビーズを詰めたカラム(改良型コラーゲンビーズカラム)への血小板停滞率を用いた.すなわち,採血後の血小板機能を安定させるため,一定時間静置した後,血液を注射器に移して改良型コラーゲンビーズカラムに接続した.シリンジポンプを用いて注射器を押す事でカラム内を通過させ,出てきた血液を血球算定用のEDTA入り採血管に取った.通過させなかった血液もEDTA入り採血管に直接混合し、血球計数装置で両採血管中の血小板数を測定した.その結果から,次式により血小板停滞率を算出して,血小板機能を評価した. 血小板停滞率(%)=(通過前の血小板数-通過後の血小板数)÷通過前の血小板数×100 本測定系を用いると,塩酸チクロピジンを服用後に血小板停滞率は有意に減少し,抗血小板薬による血小板機能抑制を捉えることができた.また,休薬期間後の血小板凝集能は塩酸チクロピジン服薬前の血小板停滞率と差がなかったことから,本測定法で得られた血小板停滞率は,生体内での血小板機能の変化を反映していると思われた.これらのことから,本測定系を用いることで,抗血小板薬のモニタリングが可能と考えられた.
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