当院では1997年に米国Biologic社製デジタル脳波計ネットワークシステムを導入し、学内LAN(NICE)を利用して検査部脳波室のサーバへ別棟の臨床研究棟からアクセスすることにより、学内遠隔地でのCRTによる脳波判読を可能にした。2002年には学内のシステムを拡大して、同機種の脳波計を使用している学外の青い鳥医療福祉センターとの間に市販の通信回線(ADSL)と市販のオンラインストレージ(医用データセンター)を利用した遠隔脳波診断システムを構築した。本研究では遠隔脳波診断システムの広域化をめざして、データ互換性がない異機種の脳波計(日本光電製)を使用しているあいち小児保健医療総合センターとの間の脳波転送システムの構築を試みた。前年度は現有のBiologic社製脳波判読システムに脳波データ互換ソフトを導入し、Biologic社製脳波データの互換を行った。更に脳波転送用コンピューターおよび脳波データ互換ソフトを購入し、DVDを使用して日本光電製脳波データの互換を行った。脳波データ互換ソフトによる脳波データの互換はそれぞれ問題なく行えたが、今年度の検討でデータ互換ソフトの操作が複雑なこと、それぞれの脳波データ波形の変容およびコンピューター操作速度の劣化が明らかになった。また日本光電製脳波データはBiologic社製脳波データに比べ、ファイル容量が大きく、NICEを利用した脳波データの転送では問題は認めなかったが、ADSLを使用した場合には長時間の転送時間を要し、実用的ではなかった。そのため今年度は市販の高速通信回線の導入を検討したが、今年度中には導入できなかった。またデータ容量減少についても検討したが、日本光電製脳波計ではデータ圧縮が十分行えなかった。今回はPCを使用した脳波判読実習システムの構築については十分な検討ができなかった。
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