研究課題/領域番号 |
15590484
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
長谷川 高明 名古屋大学, 医学部, 教授 (80198720)
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研究分担者 |
北市 清幸 名古屋大学, 医学部, 助手 (40301220)
高木 健次 名古屋大学, 医学部, 助教授 (80126870)
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キーワード | エンドトキシン / ピオグリタゾン / TNF-α / PPARγリガンド / 肝薬物代謝酵素活性 / 一酸化窒素(NO) / iNOS |
研究概要 |
インスリン抵抗性改善薬であるピオグリタゾン(PIG)は甲状腺ホルモン/ステロイド受容体スーパーファミリーに属する核内受容体PPARγを活性化する。PPARγのリガンドはマクロファージの活性化やそれに伴うTNF-α、インターロイキン-2(IL-2)、IL-6などのサイトカイン類の産生を抑制するという抗炎症作用を有することが報告されている。そこで、本研究では、エンドトキシンによる急性炎症モデルラットで見られる肝薬物代謝酵素活性の低下に対するPPARγリガンドであるPIGの効果を検討した。エンドトキシン病態時では、アンチピリンクリアランスおよびCYP2C11とCYP3A2の蛋白発現量がコントロール群に比し有意に低下した。この低下はPIGを前処置することによって有意に抑制された。一方、PIG前処置はエンドトキシンによるCYP3A2の蛋白発現量の低下を有意に抑制したが、CYP2C11に対しては抑制傾向を示すにとどまった。また、PIGはエンドトキシンによる肝臓中iNOSの過剰発現を有意に抑制したが、血漿中NOx濃度の上昇に対しては抑制効果を示さなかった。PIGはエンドトキシンによるアンチピリンクリアランスの低下に対して抑制効果を示したことから、エンドトキシンによる肝薬物代謝酵素活性低下にPPARγが関与している可能性が示唆された。この現象はPIGがエンドトキシンによる肝CYP2C11およびCYP3A2の蛋白発現量の低下を抑制したことによると推察される。また、PIGの前投与はエンドトキシンによる血漿中NOx濃度の上昇に対する抑制効果を示さなかったことから、NOはエンドトキシンによる肝薬物代謝酵素活性の低下に対するPIGの抑制効果に関与していないことが示唆された。なお、PIG前投与によりエンドトキシン誘発性肝iNOS過剰発現が抑制されたにもかかわらず血漿中NOx濃度は抑制されなかったという矛盾は、本研究結果からは説明できないが、肝臓以外の臓器でのiNOSの過剰発現が関与している可能性が考えられる。
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