主要な論文3編を欧文誌に掲載した。 [1](Leukemia & Lymphoma 2004;45:155-160) 新鮮例5例株細胞15個のBL(バーキットリンパ腫)材料でAID発現とSHMを検索した。2個の株細胞でAID発現を認めずSHMも起こっていなかった。AID発現以前の段階に由来するBL群がることは、重要であり、この論文発表後にマウスのc-mycとIg遺伝子重鎖の染色体転座が、AIDノックアウトマウスで起こるかどうかについて異なる結論の2論文が発表され大議論になったが、今回の我々の結果は、t(8;14)(q24;q32)がAID発現が無くとも惹起されることを示す観察としても重要である。 [2](Leukemia 2004;18:826-831) 新鮮15例及び株細胞5個の濾胞性リンパ腫材料で10例の新鮮材料と3個の株細胞にAIDの発現を認め、しかもAID発現の程度と継続変異の程度が相関していた。SHMが開始され、進行し停止する分化段階が濾胞性リンパ腫該当段階であることが示唆された。 [3](Eur J Hematol 2005;74:11-19) t(14;18)(q32;q21)を示すALLは稀であるが報告が蓄積し、遺伝子形質検索が十分ではない。3個の株細胞と2例の新鮮材料のAID発現、SHMの内容、TdT及びRAG1/2を調べた。時にALLらしくTdTやRAG1/2の発現を認めたが、驚いたことにSHMが検出され、新鮮材料では継続変異まで検出された。病型(ALLとリンパ腫)と由来分化段階、未分化段階性格と成熟段階性格の共存、t(14;18)惹起機構とSHM惹起機構、の3点を考慮する上で意味深い結果であった。
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