研究概要 |
急性骨髄性白血病(AML)の治療は、化学療法と造血幹細胞移植に加えて分子標的治療を中心とした個別化治療が指向されている。成人白血病治療共同研究グループ(Japan Adult Leukemia Study Group ; JALSG)においても、従来の形態学的分類(FAB分類)から染色体・遺伝子異常を組み込んだWHO分類へ転換を図っていく必要がある。すなわちWHO分類を基点とした中央診断システムを再構築して、WHO分類の特徴と有用性を検討し、我が国におけるAML/WHO分類のEvidence Based Medicine(EBM)を確立するとともに形態診断の質を高めるために細胞形態をデジタル画像化して診断情報に組み込みJALSG参加施設へフィードバックするシステムを新たに構築することも本研究の目的とした。 デジタルカメラ付顕微鏡の撮影条件を確立し、染色標本撮影画像の配信は、文字診断情報と共に診断報告システムに組み込み、JALSGのwebサイトに「形態診断セントラル・レビュー結果報告」を開設し、JALSG参加施設の了承を得、診断情報の機密保持を確立(ID、パスワード発行)して各施設へ報告するシステムを確立した。またAML症例の形態デジタル写真と形態所見のデータベース化を図っている。 今回WHO分類を行う対象症例は,染色体分析データが利用でき細胞形態観察が可能であった1518例(AML-92;513例,AML-95;363例,AML-97;642例)であった。第1カテゴリーは355例(23.4%)であり、その内訳はt(8;21);239例.(15.7%)、inv(16);58例,(3.8%)、11q23異常が58例(3.8%)であった。AML-MLDと診断されたのは372例(24.5%)であり、791例(52.1%)が上記以外のAMLと診断された。
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