研究概要 |
本研究の最終目的はイムノターゲッティングによるアミロイド沈着の体内診断法開発である。アポリポ蛋白Eは、全ての型のアミロイド沈着に存在していることから、体内診断や治療の標的となる可能性がある。今年度は、ヒトアポリポ蛋白Eを発現するマウスに炎症刺激を与えAAアミロイドーシスを惹起する系の確立を検討し、すでに樹立してある断片化ヒトアポリポ蛋白Eに対するマウスモノクロナル抗体YK-2をアミロイド担マウスに投与し、アミロイド沈着に結合するかを免疫組織化学的に検討した。三菱化学生命科学研究所、藤田博士より給与されたヒトアポリポ蛋白Eのアイソフォーム2,3,4型それぞれを発現するマウスにアミロイドを惹起したところ、2型の系列で易誘発性であった。これはアポEの血中濃度も高いことに符号していた。その後の実験には2型アポE発現マウスを用いた。投与された抗体YK-2は脾臓のアミロイド沈着周囲に検出され、抗体が確かに組織へ到達、結合することが示された。さらに、抗体を125I標識し、組織への集積をみた実験では、対象マウスに比べ、アミロイドマウスの脾臓、肝臓、腎臓、小腸の各臓器で有意に高い集積を認め、特異的な結合が示唆された。しかし、血液や実質臓器の残存放射活性も高く、抗体のクリアランスを速める工夫が必要と考えられた。今後はアイソトープ標識実験における抗体の低分子化の検討、体表シンチグラフィーへと発展させたい。
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