アミロイドーシス治療の一つとしてアミロイド成分に対する抗体の応用が、アルツハイマー病などで試行されている。本研究では全ての型のアミロイド沈着内に存在するとされるヒトアポリポ蛋白E(アポE)に注目し、これを標的としたアミロイドの局在診断、治療を目指した。昨年度と本年度の研究で、既に作製してあるヒトアポEの断片部位を認識するマウスモノクロナル抗体、YK-2をアイソトープ標識して、アミロイドーシスを惹起したヒトアポEノックインマウスに投与し、抗体がアミロイド組織に到達することを確認した。この結果をフランス、ツールにおける国際アミロイドーシスシンポジウムで発表した。それまでの結果から、抗体は確かに結合するものの比較的早期に解離することが示唆され、これは抗体の結合力によるものと考えた。よって本年度は抗体の結合力を間接的に評価する目的で、抗体投与によりこのマウスのアミロイドーシス惹起が抑制されるか調べた。実験条件はマウスにAEF(アミロイド促進因子)とアジュバントを腹腔投与し、4日後より週1回、計6週にわたり抗体を皮下投与するというものであったが、充分な抑制効果は得られなかった。よって本抗体の結合力は強くないものと推察された。
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