血中グルコース濃度依存的にインスリン分泌を促進するGlucagon-like peptide-1 (GLP-1)は活性型がGLP-1(7-36)NH_2あるいはGLP-1(7-37)で、生体内で不活性型のGLP-1(9-36)NH_2とGLP-1(9-37)に分解される。活性型GLP-1の特異測定系を確立する事を目的とした。GLP-1(7-37)のN端部位に対する特異抗体の作成に、D-グルタミン酸とD-リジンの重合体(D-GL)のB細胞に対する免疫寛容作用を利用した。方法:ウサギにGLP-1(7-25)とKLHの結合物で免疫、追加免疫の2回目と3回目のそれぞれ3日前にGLP-1(11-25)とD-GLの結合物を空腹内に投与した。モノクローナル抗体作成のためには2週間間隔で5回免疫、2回目と3回目の免疫の3日前にGLP-1(11-25)-D-GLを投与し、最終免疫の4日後に融合した。 結果:得られたポリクロナール抗体(R301)のGLP-1(9-37)との交差性は0.05%以下であった。一方、D-GL結合物を投与しなかった対照群ではGLP-1(9-37)に100%交差した。本免疫方法により得られたモノクローナル抗体はプレートに固定化したGLP-1の(9-25)よりも(7-25)と強く反応した。得られた種々の抗体の中から、二種の抗体の組み合わせを検討し、最終的にGLP-1(7-37)の免疫によって得られたC端側モノクローナル抗体をプレートに固相化、R301を二次抗体とし、ペルオキシダーゼ標識抗ウサギ抗体で検出する系を確立した。本測定系の感度は0.05ng/mlで、不活性型GLP-1とは交差性を示さないで活性型GLP-1を特異的に測定することが可能であった。
|