研究概要 |
妊娠ICRマウスに飲料水に塩化TBTを0,15,50ppmに混ぜるか、餌中に125ppmを混ぜるかして投与を行い、F1マウスが生後3週間になって乳離れするまで曝露を行った。オスのF1マウスについて脳各部位の神経伝達物質及びその代謝産物の濃度を生後1、2、3週それぞれの時点で検討した。餌中に125ppmを混ぜて投与した群は生後すぐ全頭死亡した。50ppm投与群のF1マウスは生後1週時点の平均体重が対照群に比べ有意に低かった。F1マウスの神経伝達物質及びその代謝産物の濃度は生後3週で、50ppm投与群の線状体のDA、大脳のHVA、15ppm群及び50ppm群のF1マウスの延髄のセロトニン濃度が対照群に比べ有意に高かった、母マウスに関しては、125ppm投与群で、小脳、延髄、中脳、線状体のセロトニン濃度が対照群より有意に低く、またセロトニンの代謝産物5-HIAAの濃度も母マウスの125ppm投与群で小脳、中脳、線状体で対照群に比べ、有意に低かった。F1マウスに関しては50ppmの曝露で生後3週の時点で神経伝達物質の変化が観察された。この濃度は、系は異なるが、成獣で観察された毒性を生じる濃度よりも低かった。母ラットでは125ppmの曝露でセロトニン代謝に影響が見られた。 同様に妊娠ICRマウスに飲料水に塩化TBTを0,15,50ppmに混ぜ投与を行い、F1マウスが生後3週間になって乳離れするまで曝露し、オスのF1マウスの大脳から膜画分を調製し、リガンド[^3H]MK-101のNMDA受容体への結合を検討した。生後1週の15ppm投与群、生後3週の15,50ppm投与群のF1マウスにおいて対照群に比べ、特異的な結合の低下が見られた。F1マウスの大脳のNMDA受容体へのリガンドの結合がTBT投与によって低下した。 他に成獣マウスの神経毒性、マウスの発達免疫毒性についても検討した。
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