研究代表者は、数年来のマウスやウサギを用いた実験研究において、カドミウムの急性暴露によって急性肝臓障害が発症するのに伴い、末梢血中の白血球、特に好中球増多が惹起されることを観察してきた。そこで、本研究では、この急性カドミウム中毒による好中球増多のメカニズムならびにその好中球のカドミウム中毒における役割(防御的か、増悪的か)を解明するため、カドミウム暴露による種々の造血系サイトカインの産生をin vivoとin vitroの両方の実験系を用いて観察する。 今年度は来年度からの実験のための準備を中心に研究を行った。まず備品として動物用全自動血球計数装置を購入し、preliminaryの動物実験によって採取した末梢血において、極めて迅速に再現性の良い末梢血中の白血球数、赤血球数、血小板等の計数測定を行えることを確認した。また、G-CSF (granulocyte colony-stimulating factor)、GM-CSF (granulocyte-macrocyte colony-stimulating factor)、IL-3 (interleukin-3)、IL-6等の好中球産生調節機構に関与するサイトカインの産生を調べるためにRT-PCRを行うことを予定しているが、それに必要なプライマーオリゴDNAの合成も行い、さらにその蛋白質の測定に必要なELISAキットの購入も計画している。
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