研究課題
基盤研究(C)
【目的】環境汚染物質の毒性検索法として、取り扱い上安全な酵母を使い、酵母ゲノムライブラリの導入などにより毒性に関わる遺伝子を検索する基礎的手法の迅速化・簡易化を検討し、新たな環境汚染物質の細胞内標的因子の同定、機能の解明・活用に資することを目的とする。【結果・考察】1.メチル水銀(MHg)をモデルとし検索のための系を寒天培養から96穴プレート培養(濁度測定)に変更。これにより耐性株検索は迅速化。MHg毒性機構の一部解明にも寄与。MHg毒性増強因子Msn2(Cys2 His2 Zn finger型転写因子)はGFA1((GFAT : MHg標的酵素で細胞生存に必須:L-glutamine・D-fructose-6-phosphate amidotransferase)をコードする遺伝子)の転写を抑制、GFA1 mRNA発現を抑制することでMHg高感受性となる可能性を示した。2.さらに特定の遺伝子欠損株使用により作用機構解明の過程も短縮。Sok2(Msn2に結合する蛋白)の遺伝子SOK2欠損株がMHg高感受性を示す事を見出し、Msn2が示すメチル水銀毒性増強作用に部分的にSok2が関与する可能性を示した。3.またカドミウム(Cd)で遺伝子欠損株を用いた毒性試験を行なった。出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)BY4742株の遺伝子欠損株ライブラリー(Euroscarf)約4850種の中から、350μMCd感受性株260種を用い、20μM濃度までのCdに対する低濃度感受性株および低濃度耐性株を検索した。今回の検索では、Cdが細胞内での液胞への蛋白質輸送系(MHgの標的として知られている)において、MHgと同じ遺伝子欠損株で耐性(VAM3、VPS63、VPS68)となる事を観察した。共通の標的蛋白質・機能がある事になる。今後、以上のような手法に加え、欠損株だけでなく高発現株使用なども検討し、新たな機能を発現する形質転換株や複数の物質に共通の耐性機構を示す酵母株を得やすくし、複数の環境汚染物質の生体影響をモニタリングする指標の掘起しにも活用する計画である。
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