研究概要 |
心筋梗塞や脳梗塞発症の独立した危険因子として血液凝固因子である血漿フィブリノゲン濃度の意義が注目されている。研究代表者らは、科学研究費(萌芽的研究、課題番号12877069、平成12-13年)を得て、平成12年に住民基本検診の場を利用して同意を得た住民約2,800名の血漿フィブリノゲン濃度を測定し、動脈硬化危険因子との関連性を明らかにした。本研究は、平成15年に再度同一地域の住民基本検診の場を利用して血漿フィブリノゲン濃度を測定して、この3年間のフィブリノゲン濃度の変化に関与する要因を検討することを目的とした。平成15年に同意を得て2,587名のフィブリノゲン濃度を測定し、そのなかで平成12年も測定していたのは1,812名であった。さらに脳血管疾患、心疾患、糖尿病の既往のある人は除外し、結果的に1,620名について解析した。その結果、平成12年から平成15年の3年間の変化をみると、フィブリノゲン濃度は、高齢者ほど高値で、女性の方が男性より高い傾向がみられた。そして女性では閉経時期にあたる45歳以上で増加が著しい傾向がみられた。また、BMIの高値、喫煙者(男性)でもフィブリノゲン濃度は高い傾向がみられた。血液検査では、総コレステロールやHbAlc値が高いほどフィブリノゲンも高値の傾向があり、逆にHDL-コレステロールは高いほどフィブリノゲンは低い傾向がみられた。3年間の血漿フィブリノゲン濃度の変化は、動脈硬化危険因子保有者で増加が著しい傾向が認められた。
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