研究課題
基盤研究(C)
我が国では平成9年より新しい地域保健法を施行し、市町村に管理栄養士が配置され住民の栄養指導業務を行うことになった。しかし、地域における生活習慣病の罹患率は年々増加していることからも、正しい食生活を実践するための栄養教育・栄養指導法の確立が望まれている。しかしながら、地域における保健活動に対する改善効果を求めた評価、報告は乏しく、どのようにその業務に取り組んでいくのか、その方法論は十分に確立されていない。そこで、異なる地栄養教育法の違いによる教育効果について検討した。我々は生活習慣病ハイリスク(肥満、高血圧、高脂血症、糖尿病)者に対する6ヶ月間の行動療法を用いた栄養教育により、生化学的データと食習慣(栄養素と食品摂取量)がどのように変化するか、それらの変化は指導方法により異なるのかについて試験した。生化学的データと食習慣は介入前後で地域の保健システムを利用し、食事調査はFFQを使用して解析した。介入方法は介入前の調査に基づいて計画し、行動変容に影響を与えると報告されている自己監視や自己効力感のトレーニングを含む双方向型栄養教育と通常の一方向型栄養教育(コントロール)を2ヶ月ごとに6ヶ月間行った。我々は、双方向型栄養教育にセルフチェック用紙を利用した。これは、対象者と話し合い(双方向)、対象者が自分で実施可能と判断できる目標をいくつか話し合いながら作り、用紙上に毎日の実行できたか、できなかたかを、○、×、△などで日記風に記入して、日々の実行度を本人が容易に理解できるようにしたものである。双方向型介入前後での体重、BMI、収縮期・拡張期血圧、HDLコレステロールはコントロール群に比較して有意(P<0.05)に改善していた。一方で食事については2群で有意(P<0.05)な変化が見られたが、食品群別摂取量の変化はコントロール群でのみ有意(P<0.05)な変化が見られ、介入方法の違いによる差は見られなかった。双方向型介入群ではコントロール群に比較して、介入後で肥満、高血圧の対象者数が減少した。介入後で食事・運動についての行動変容を達成している対象者数は通常介入群と比較して双方向型介入群で有意(P<0.01)に多かった。これらの結果、通常介入群では介入前後で改善が見られたのは食習慣のみであったが、双方向型介入群では、血液性状、食習慣、行動変容全てにおいて改善が見られており、行動療法を用いた栄養指導が通常の栄養指導に比べて効果が高いと考えられた。
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