研究課題/領域番号 |
15590551
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
公衆衛生学・健康科学
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
柴田 義貞 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (40010954)
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研究分担者 |
太田 保之 長崎大学, 医学部, 教授 (50108304)
本田 純久 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助手 (90244053)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2004
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キーワード | チェルノブイリ / 精神身体的影響 / General Health Questionnaire / Goldbergの不安尺度 / Goldbergの抑うつ尺度 / 国際交流者研究 / ウクライナ |
研究概要 |
チェルノブイリ原発事故が住民に及ぼした精神的影響の大きさを明らかにすることを目的として、チェルノブイリ原発所在地のプリピャチ市を含む、チェルノブイリ30-km圏内からキエフ市に避難してきた、事故当時15-45歳の女性1558人(I群)と、事故以前からキエフ市に在住していた同年齢の女性1931人(II群)に対して、GoldbergのGeneral Health Questionnaire 12項目版(GHQ-12)、不安尺度および抑うつ尺度を用いた精神的健康状態の測定をウクライナ放射線医学究所と共同で実施した(I群は2003年に、II群は2004年に調査した)。GHQ-12の総得点が4点以上の者をGHQ-12高得点者として分析し、以下の結果を得た。 1.対象者の調査時平均年齢(標準偏差)は、I群は45.9(8.1)歳、II群は46.4(8.3)歳であった。GHQ-12高得点者は、I群の292人(18.7%)、II群の159人(8.2%)に認められ、I群の方が有意に割合が大きく、また、年齢とともに有意に増加した。 2.不安状態はI群、II群それぞれ823人(52.8%)、938人(48.6%)に認められ、抑うつ状態はI群、II群それぞれ717人(46.0)、826人(42.8%)に認められ、いずれもI群の方が有意に割合が大きく、年齢とともに有意に増加した。 3.GHQ-12高得点者、「不安あり」「抑うつあり」とされた者の割合は、いずれも種々の疾患の有病状況と有意に関連しており、多くの疾患の有病率はI群の方が有意に高かった。 4.GHQ-12高得点者、「不安あり」「抑うつあり」とされた者の割合について、ロジスティック回帰モデルを用いて年齢および種々の疾患の有病状況で調整した後も、GHQ-12高得点者の割合はI群の方がII群よりも有意に大きかった。すなわち、II群におけるGHQ-12高得点者の割合に対するI群におけるGHQ-12高得点者の割合のオッズ比(95%信頼区間)は、1.6(1.25-2.14)であった。しかし、「不安あり」「抑うつあり」の割合については、有意な群間差は認められなくなった。 5.チェルノブイリ原発周辺地域からの強制移住が精神的健康状態に大きく影響していることが示唆された。
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