研究課題/領域番号 |
15590552
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研究機関 | 大分大学(医学部) |
研究代表者 |
穴井 孝信 大分大学, 医学部, 教授 (00202648)
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研究分担者 |
松原 みちる 大分大学, 医学部, 助手 (80347038)
宮崎 史子 大分大学, 医学部, 講師 (10315195)
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キーワード | 月経周期 / 卵胞期 / 黄体期 / 出血持続日数 / 月経不順 / 基礎体温 |
研究概要 |
約40年前の研究(昭和37年、1962年)に基づいた日本産科婦人科学会による正常月経は以下のように規定されている。 月経周期日数:25-38日、その変動±6日以内 卵胞期日数:17.9±6.2日 黄体期日数:12.7±1.6日 出血持続日数:3-7日(平均4.6日) 平成15年(2003年)における基礎体温法による今回の調査に基づく正常月経の各数値の中間報告は以下のようになる。 月経周期日数:25-38日、その変動±10日以内(平均31.0±6.6日) 卵胞期日数:19.9±6.2日 黄体期日数:11.2±3.1日 出血持続日数:4-7日(平均5.9日) 正常月経周期日数に大きな変動はないが、その変動は±6日以内から±10日以内へと変動幅が増加している。さらに、卵胞期日数が約2日延長し、黄体期日数が約1.5日短縮していた。これらの数値の変動が確実なものかどうかはさらに大きなサンプリング調査を必要とし、現在さらに多くの対象者による基礎体温測定調査を続行している。 今回の結果では平均月経周期日数は欧米各国の平均月経周期日数である28日とは明らかに異なり、食生活の欧米化にも関わらず、正常日本人女性の月経周期は平均31日(卵胞期+黄体期)で、40年を経た現在においても月経周期が比較的長いことを維持していた。これは、生涯の月経回数の減少を意味し、特に卵胞期が長いことはエストロゲンの暴露の減少を示唆し、日本人女性の乳癌患者が少ないことを疫学的に裏付ける可能性がある。 しかし、月経周期日数の変動の増加は月経周期の不規則性の増加、すなわち月経不順の増加を示唆する。また、黄体期日数の減少は黄体機能の低下を示唆するものであり、これらの結果は女性の妊娠能力の全般的な低下を示すことになる可能性がある。 以上まとめれば、約40年の空白期間にも関わらず月経周期日数そのものの変化は極めて少ない。これは、月経周期日数が環境因子よりも遺伝的因子に多く支配されることを示唆するものであろう。しかし、卵胞期および黄体期日数は変化が認められ、さらに詳しく調査する必要を認めた。
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