研究課題/領域番号 |
15590555
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研究機関 | 青森県立保健大学 |
研究代表者 |
竹森 幸一 青森県立保健大学, 健康科学部, 教授 (50003546)
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研究分担者 |
山本 春江 青森県立保健大学, 健康科学部, 教授 (00315540)
浅田 豊 青森県立保健大学, 健康科学部, 講師 (00315532)
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キーワード | 生活習慣 / 食塩過剰摂取 / シナリオ学習 / チューターガイド / PBL / 食生活 / 教育モデル / 血圧 |
研究概要 |
本研究の目的は、大学における新たな教育方法、すなわち学生がある事例をもとにしたシナリオに基づいて、自主的、自立的に学習し、学生間で相互に助け合いながら学習するという教育方法であるPBL(Problem Based Learning)の手法を、地域住民の生活習慣改善に応用した新しい教育モデルを開発することである。 対象は青森県N町で開催された減塩教室に参加し、教室終了後10ヵ月後まで追跡することができた減塩教室参加者23人(参加群)と塩分検査のみを希望した者(検査群)8人であった。本研究では地域の食生活改善推進員等が学習をサポートするチューターを担当した。実際の教室は塩分と血圧に関する講義・グループワーク・調理実習等から成る。教室参加住民は、シナリオを基盤として、チューターによるサポートを受けて、減塩を中心とする生活習慣改善のための知識やスキルを習得することができた。また、参加住民同士が、お互いの生活経験を学習資源とした自由な討議を行なうことが減塩に関する行動変容・実践につながったと捉えられる。 教育効果と課題は教室前後、教室終了後5ヶ月および10ヶ月に測定した尿中食塩、カリウム、血圧値並びに質問紙調査から分析した。参加群は教室終了後の食塩レベルを維持していたグループ(維持群)とリバウンドがみられた群(戻り群)に分けられた。戻り群において、教室終了後5ヶ月に開かれたクラス会の学習効果が、10ヶ月後にみられた。最高および最低血圧は維持群と戻り群で低下し、検査群では変化がみられなかった。維持群の健康習慣レベルは戻り群や検査群のレベルより高かった。食塩に関する食習慣の改善が維持群と戻り群にみられた。このことから、健康習慣スコアが高く、食習慣が改善した人達が、教室終了後の食塩レベルを維持していたものと考えた。以上の結果から、教育プログラムは減塩教育に有効であったといえる。一方、リバウンドがみられる者があることから、対象者の生活習慣全体を考慮に入れたプログラムの開発が必要であると考える。
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