研究概要 |
学校フィールド(小学校〜大学)の健常学生約1,000人を対象として,各指標(身長,体重,Body mass index,握力,大腿周囲径,下腿周囲径など)を評価した。一方,乾式踵骨超音波法の骨量測定装置(アロカ社,東京:AOS100)を用いて,3つの骨量指標(超音波伝播速度,超音波減衰係数,音響的骨評価値)の測定を行った。なお,足の大きさが小さい(22cm未満)対象者に対しては,開発した小児用アダプターを用いた。なお,成長期の骨サイズ効果(成長とともに骨サイズが大きくなると,実際の3次元骨密度が同等であっても測定された2次元骨量指標に差が出てしまう測定バイアス,Carter DR,et al.New approaches to interpreting projected bone densitometry data.J Bone Miner Res.1992;7:137-145)を考慮するため,他の測定指標と組み合わせて補正した。さらに,対象児童の行動科学的な関連要因として,性,年齢,既往歴,家族歴(高血圧,糖尿病,高脂血症,骨粗鬆症など),食習慣(乳製品,小魚,偏食,ダイエットなど),生活習慣(睡眠,運動・スポーヅ活動,テレビ視聴時間など)を評価した。小学生には,個人的属性の調査にあたって児童の家族に協力を仰ぐ。足の大きさ,踵骨幅等の生体情報も非侵襲的に収集し成長期骨発育モデルに応用した。収集データの整理後,マルチレベルモデルによる「成長期骨発育曲線」のモデル化を行った。経年的に反復測定され変化していく成長期の経年的な骨発育データは,対象児童ごとに変動が大きく,従来から行われてきた同一の線形回帰によるモデル適合では,十分な解析が困難であるため,マルチレベルモデル(多重レベルモデル)を応用し,成長期骨発育曲線の適正なモデル化を行った。
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