研究概要 |
健康な男子大学生16名に,夜11時就寝-午前7時起床7日間のベースライン,午前1時就寝-午前6時起床7日間の部分断眠を負荷した.負荷の順番はランダムに割り付けた.第1日は,自覚症状調査票(エップワース眠気尺度,スタンフォード眠気尺度,Visual Analog Scaleによる眠気尺度,疲労困憊尺度,自覚症状調べ)に記入後実験開始.就眠前に被験者が脈波テレメトリー記録装置のスイッチを入れ,睡眠中の脈波テレメトリー測定を行った.この間,午前9時,12時,午後3時,6時,9時にスタンフォード眠気尺度およびVisual Analog Scaleによる眠気尺度の記入を行わせた.アルコールの飲用を禁止し,第7日の正午以降のカフェインの摂取を禁止した.第8日の朝は絶食とし,午前9時より人工気候室内(室温25℃,相対湿度40%)にて唾液採取およびCCDカメラによる瞳孔画像の測定をおこなった.同時にHoller心電計により安静時の心電波形を収録した.瞳孔画像はイリスコーダC7364(浜松ホトニクス社製)を用いて720秒間測定した.瞳孔径について,ベースラインと部分断眠との間で,1)瞳孔直径,2)瞳孔直径の平均値/標準偏差(Pupillary Fatigue Ratio,以下PFR)および3)高速フーリエ変換による1.0Hz以下の瞳孔直径の変動の周波数成分を比較した. その結果,部分断眠後に疲労困憊尺度得点が大きく増加した群(蓄積疲労群)では,部分断眠後の瞳孔直径,PFRは有意に減少し,瞳孔直径の変動の1.0Hz以下の周波数成分は有意に増加した.以上より瞳孔画像による指標は,蓄積疲労の指標となりうることが確認できた. またこの過程で,瞬目によるデータ欠損の処理方法の検討が必要となり,スプライン補間法およびニューラルネットワーク理論にもとづく瞬目を含む瞳孔直径データの自動処理法について検討した.
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