本報告書は、「在宅生活自立高齢者の閉じこもりに関する縦断的研究」を研究課題として、平成15年から17年度の3年間にわたって研究した成果をまとめたものである。 寝たきりにいたる過程に閉じこもり状態像が存在し、その状態像に陥らないことの予防を目指して、ADL自立高齢者において、以下の点を明らかにした。 1.外出頻度によって、閉じこもりが判定できるか。 (1)外出頻度が週1回以下を閉じこもりと判定するのは有用である。 (2)外出頻度によって閉じこもりと判定された者は要介護に移行する率が高い。社会交流のある高齢者でも、閉じこもり状態になると要介護に移行する。 2.外出頻度による閉じこもりに地域差があるか。 閉じこもり率は7〜10%程度である。地域差が認められる。 3.ADL自立高齢者において閉じこもりと関連する要因は何か。 閉じこもりに関連する要因は「高次生活活動能力」の関与が大きい。 4.高次生活活動能力自立高齢者における閉じこもり発生要因は何か。 高次生活活動能力自立高齢者において、閉じこもり発生要因は、男女とも、どの年齢においても、「友人・別居家族・親族との交流頻度」が少ないことであった。 【結論】 高齢期において、外出頻度が少なくなり、家に閉じこもる状態は要介護に移行する。さらに、自宅において、友達や近隣、身内と会っておしゃべりする機会があるような者でも、外出が少ないことは要介護に移行しやすい。高齢期の閉じこもり状態は要介護移行リスクであり、頻繁に外出し、社会的刺激を受けることが特に重要と考えられる。予防的支援としては、先ず、閉じこもり状態を解消し、友人等をつくる「場」の支援が必要になる。さらにその場で行われる具体的支援は「高次生活活動能力(老研式活動能力指標)」を向上させるようなサービスになると推察される。
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