研究概要 |
微生物学的研究あるいは臨床研究から炎症疾患が虚血性心疾患を引き起こす一役を担っていることがいわれている。対象となる感染症としてはヘリコバクター・ピロリ感染などが挙げられているが、関係の有無に関して疫学的に明確になっているとは言い難い。また生活習慣要因としては、喫煙、飲酒、各血清脂質レベルおよび糖尿病などがあるが、欧米型とは危険因子の違いが存在することが考えられる。本研究は、患者対照研究により特に虚血性心疾患と生活習慣要因としての糖尿病や血清脂質などとの相互関係に関して疫学的に追究することを目的としている。 秋田県内の医療機関のうち1施設を対象とし、この医療機関に検査、治療等を目的として訪れた者を対象とした。入院患者は全例に冠動脈造影を実施している。虚血性心疾患は、急性冠症候群、安定狭心症および冠攣縮性狭心症に分類した。虚血性心疾患は、Incidence caseを研究の対象とした。健康調査を目的として、質問票を用いて高血圧や糖尿病などの既往歴および喫煙、飲酒に関して聞き取りを行なった。総コレステロール、中性脂肪、LDLコレステロール、HDLコレステロールなどの血清脂質に加え、ヘモグロビンAlcなど糖尿病の指標を測定した。統計解析には、Statistical Product and Service Solution(SPSS Inc, Chicago, IL, USA)を用いた。オッズ比(OR)および95%信頼区間(95%CI)を求め、p<0.05を有意差ありと判断した。3年間の研究結果から急性冠症候群とヘリコバクター・ピロリ感染や糖尿病の指標との間に相関関係が認められた。
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