研究概要 |
2316名の高校生の24,071人の生活習慣病の既往歴調査データから家族の性・年齢別虚血性心疾患既往割合を算出し、そのロジスティック解析から家族の性、年齢の違いによる既往割合への影響を定量的に検討した。性差のオッズ比は1.61、年齢差のオッズ比は1.07で性差、年齢差とも全年齢層にて有意であったが、70歳未満で双方とも大きく、そのリスク因子としての家族歴評価では性・年齢を考慮すべきであることが示された。家族の年齢のみならず、家族歴陽性者が女性家族である場合にはより大きなリスク要因として評価すべきであることを初めて明確に指摘した。 次いで家族の性および年齢を定量的に考慮した方法を考案しその有用性を検討した。1584名の高校生の17,127人の両親、祖父母、おじおばの虚面性心疾患既往歴のロジスティック解析から家族の性、年齢の違いによるオッズ比1.60および1.06を得た。性差オッズ比年齢のオッズ比の8乗に近く、性差は年齢8歳の違いに相当することになる。そこで、各家族既往歴の高校生への負荷を各家族毎に(30/リスク年齢)の4乗で計算した。リスク年齢は10歳区分発症年齢または未発症では現在または死亡年齢である。年齢別既往割合は年齢の4乗に最も近いので4乗を用いた。年齢30歳未満は30とした。ここで女性家族ではリスク年齢から8歳を減じた。各家族のリスク値を両親では2倍、おじおばは父母方別に2人相当とし、祖父母を加えて12で除した。この家族リスク値と(総コレステロール-HDLコレステロール)/HDLコレステロールで定義される高校生の動脈硬化指数とのオッズ比をみたところ、家族歴リスク値を中央値で2分すると1.50、最低4分位と最高4分位では1.84といずれも有意となった。従来の家族歴評価法よりハイリスク高校生の把握能が優れていた。
|