平成15年度はDNAマイクロアレイ法についての基礎的な実験条件を検討した。HLA-DQB1アリルの中からDQB1^*0301と^*0601型を選択し、多型性の存在するエキソン2領域におけるアリル特異性領域をターゲットにしたマイクロアレイを作成した。得られた基礎実験の結果は以下の通りである。 1.実験材料 同意を得た供血者の血液から抽出したDNA4種(ホモ型、ヘテロ型各2種)とクローニングにより回収したホモ型4種を用いた。アリルの型はPCR-SSP法とdirect sequence法により確認した。 2.プライマーの設計 HLA-DQB1の多型性が存在するエキソン2領域を増幅するプライマーを設計した。5'末端をビオチン標識して用いた。最適アニーリング温度を58℃に設定しPCRを40サイクル行ったところ全例において280bpに増幅産物が得られ良好な結果を示したので、このプライマーを用いて実験を進めることにした。 3.Capture DNAの選定 実験材料のHLA-DQB1エキソン2増幅配列を比較し、アリル特異的な配列6箇所にCapture(オリゴヌクレオチドプローブ)を設計して予備検討後、良好な結果を示した4箇所を検出するマイクロアレイを作成した。 4.マイクロアレイ実験 8種のCapture(4箇所×2アリル)を固定化したマイクロアレイを作成した。ターゲットDNAを変性後、マイクロアレイ上のCapture DNAとハイブリダイズさせ、ビオチン-ストレプトアビジン反応にて発色を行い、風乾後スキャナーにて画像を取り込み解析した。ゲノム4種、クローン4種をテンプレートにハイブリダイゼーションを実施した結果、全てのゲノム、クローンに特異的なシグナルを検出した。なお、プライマー作成、マイクロアレイ作成、マイクロアレイ実験は業者に委託した。今年度のマイクロアレイによるHLA-DQB1タイピングの基礎実験はプライマー、Capture DNAの設計をうまく行えば良好な結果が得られることが示唆された。
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