研究概要 |
本研究は、分離カラムの新規充填剤として開発されたモノリス型カラムを利用し、生体試料中の薬物抽出への可能性について検討した。 1)装置構成の検討 モノリスが充填されたキャピラリーカラム(外径0.2mm)を固定する基材を検討した。カラム着脱の素材をPEEKに変更するとで複数回の使用にも耐え、ルーチン分析への可能性が示された。 2)尿中薬物の抽出 塩基性薬物(イミプラミン、アミトリプチリン、クロミプラミン)、中性薬物(リドカイン、メピバカイン)、酸性薬物(セコバルビタール、ペントバルビタール、フェノバルビタール、アモバルビタール)の抽出について詳細に検討した。各薬物を添加した尿にpHの異なる緩衝液を添加することで回収率の変化を検討した。その結果,水添加では40〜76%の回収率であったにも関わらず、pH調整することによって回収率が30%以下に低下した。覚せい剤については、緩衝液の代わりにイオンペア剤(オクタンスルホン酸)を使用することで100%の回収率が得られた。同様の方法で尿中MDMAとMDAも抽出可能であった。 3)HPLCへの導入法の検討 モノリスが充填されたキャピラリーカラムをHPLC注入用マイクロシリンジの先端に固定し、薬物溶離液を直接HPLCへ導入した。オフラインでの結果と同様の精度が得られ、直接導入の有用性が示された。HPLCの試料導入部(サンプルループ)にモノリス型カラムを挿入し、前処理から分析までの自動化を検討したが、良好な結果が得られなかった。そこで、多容量注入路にカラムを接続し、尿中覚せい剤について前処理の自動化を検討した。
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