研究課題/領域番号 |
15590584
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
吉本 寛司 京都府立医科大学, 医学研究科, 助教授 (70111903)
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研究分担者 |
安原 正博 京都府立医科大学, 医学研究科, 教授 (60305604)
矢野 忠 明治鍼灸大学, 鍼灸学部, 教授 (70166560)
福田 文彦 明治鍼灸大学, 鍼灸学部, 講師 (80238485)
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キーワード | 脱共役蛋白質 / UCP / アルコール / マウス / 近交系 |
研究概要 |
脱共役蛋白質uncoupling protein (UCP)は、ミトコンドリアでの酸化的リン酸化を脱共役させ、脂肪などのエネルギー源をATPに合成することなく熱に転換する機能分子ファミリーである。最近、熱産生のみならずエネルギー消費の調節や肥満のターゲット分子として注目されている。昨年急性エタノール(EtOH)投与によるUCP mRNA発現は、投与早期に減少しその後(4〜8時間後)増加する経時的変化を報告した。今回、アルコール嗜好性の異なる近交系マウスを用いて、アルコール投与後のUCP1 mRNA発現の変化を経時的に検討した。実験動物は、8wks雄C57BL/6J, C3H/HeJ及びDBA/2J系マウスを用いた。全個体絶食14時間後にEtOH 2g/kg i.p.又は同量生理食塩水を投与し、1.0,8.0及び16.0時間後に断頭した。各経過時間ごとに褐色脂肪細胞(BAT)を摘出した。リアルタイム定星RT-PCR法により、BAT UCP1 mRNA及びβ-actinを測定し、EtOH投与によるUCP1 mRNA発現の経時的変化を[UCP1 mRNA]/[β-actin mRNA]比の変化で示した。C3H/HeJとDBA/2J系マウスに比べて、生理的条件下でのC57BL/6J系マウスBAT UCP1 mRNA量は有意に低値を示した。C3H/HeJ系マウスにおいて、EtOH投与後1時間にBAT UCP1 mRNA発現は大きく減少し、8時間後においてもその減少を示した。DBA/2J系マウスのBAT UCP1 mRNAは、EtOH投与8時間後に減少を示した。両群ともに16.0時間後には対照値に回復した。一方遺伝的にアルコール嗜好性の高いC57BL/6J系マウスのEtOH誘導BAT UCP1 mRNA発現の変化は認めなかった。EtOHは、低いアルコール嗜好性を有する近交系マウスのBAT UCP1 mRNA発現を減少させた。今回の結果から遺伝的にアルコール嗜好性の異なる近交系マウスにおける飲酒後の摂食行動(セットポイント)の変化が示唆された。
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