研究概要 |
1)覚せい剤イムノアッセイスクリーニングの開発 N-アミノブチルメダンフェタミン(MA)とウシ血清アルブミンの結合体に蛍光ラベル剤(BHHCT-Eu^<3+>)を標識し,抗MA抗体に対してMAと競合反応をさせた.抗MAウサギIgGにはCy5を標識した.エネルギードナーであるBHHCT-Eu^<3+>の蛍光波長615nmはエネルギーアクセプターであるCy5の吸収極大波長643nmに近いため,これらは互いに近接して結合した時のみに,紫外光で励起されたエネルギードナーであるEu錯体からのエネルギー移動が起こり,アクセプターであるCy5の増感発光が観察される.蛍光測定用マイクロタイタープレートに標識抗原25μl, MA標準液または検体希釈液50μl,さらにCy5標識抗体溶液25μlを同時に加えて混合し,37℃で30分反応させた.340nmでEu^<3+>を励起し,680nmにおけるCy5の蛍光強度を時間分解蛍光測定で求めた.緩衝液中の標準MAの最小検出濃度は約0.1ng/mLで,1ng/mL〜1μg/mLの濃度範囲で測定できた.測定誤差は8濃度の平均CVが1.98%であった.次に検体である尿や血清が測定に及ぼす影響を調べるために,覚せい剤を含まないことが明らかなヒトの尿および血清に,MAを10^2-10^<-2>ng/mLの濃度になるように加えた.EuとCy5の蛍光強度を測定し,緩衝液で希釈したMA溶液を測定した値との比較を行ったところ,検体によるCy5の消光,あるいはエネルギー遷移の効率がほとんど影響を受けていないことが推測された. 2)4-ヒドロキシノネナール(HNE)のイムノアッセイによる酸化ストレスの測定 酸化ストレスの関与する炎症病態評価のため、血液中の過酸化脂質などの定量法の確立が望まれているが,4-HNEのイムノアッセイを開発した.抗4-HNEポリクローナル抗体・モノクローナル抗体の2つの抗体を使ったサンドイッチイムノアッセイでHNEを測定した.HNEの測定範囲は0.08-800 nmol/mlであり、通常の競合法より検出感度・再現性ともに高かった.敗血症モデルとして,LPSを腹腔投与した雄SDラットから経時的に採血し,定量可能であった.
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