研究概要 |
1)ハイドロキシノネナール(HNE)抗体を用い,酸化ストレスによる過酸化脂質を測定する方法を開発した.動物実験で新たな炎症や生活習慣病の指標になるような結果が得られ,実際のヒト検体の測定に応用した.閉経女性の血清HNE値は若年女性の約2倍であり、若年女性において,性周期はHNEに影響がなかった。またカラーワードテストという心理ストレスモデルによって、閉経女性ではストレス後の安静期にHNEが上昇することを見いだした.中高年のストレスと突然死との関連を示唆している. 2)イムノアッセイの標識剤としてオリゴDNAで抗体を修飾し,通常のサンドイッチ法などでトラップされたオリゴDNAの量をInvader法によって定量することでさらに高感度化を目指した.Invader法はThird Wave社で開発された微量DNA測定のための検出方法であるが,これをIL-22のイムノアッセイに用いた.極微量のtargetオリゴDNAのシグナルをImmuno-PCR法の代わりにInvader assayで増幅することにより,従来のイムノアッセイより2〜4桁の感度向上が可能になり,0.2-0.9pg/mLの検出感度を得た.Invader法のFluorescence resonance energy transfer(FRET)プローブに用いる蛍光剤を有機色素から新しい希土類蛍光錯体にかえることによって,さらに1〜2桁の感度向上が期待される. 3)時間分解蛍光測定顕微鏡を開発し,ストレプトゾトシンを投与したラットの腎臓のニトロチロシン産生に関与する細胞を,Eu-DTBTAという新しい錯体を用い,FITCと比較し,特定した.免疫組織学上,ニトロチロシンはmitochondria指標であるCytochrome c oxidase(COX)と同様,近位尿細管の顆粒状構造を染めCOXを含む分画に多かった.
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