研究概要 |
継続して行っているABO式血液型遺伝子の温度勾配電気泳動法による一塩基多型(SNP)解析について,エクソン6(全領域216bp)とエクソン7(245bp)とを個別に増幅し代表的な対立遺伝子A,B,O^A,O^Gを分析した。エクソン6では,A,O^AとB,O^Gのホモ二重鎖の分離が可能で(GC含量の差による),2種類の対立遺伝子を混合したヘテロ二重鎖は欠失とミスマッチの有無に応じて異なるバンドパターンを示した。3種類の対立遺伝子を混合した場合は,2種類ずつのバンドパターンを組み合わせたパターンを示した。エクソン7では,GC含量の差によりA,O^A,BとO^Gのホモ二重鎖の分離が可能で,2種類の対立遺伝子を混合したヘテロ二重鎖は,ミスマッチの種類に応じて,異なるバンドパターンを示した。3種類の対立遺伝子を混合した場合は,2種類ずつのバンドパターンを組み合わせたパターンを示した。以上のように温度勾配電気泳動法により効率的にABO式血液型の遺伝子型の判定が可能だった。 温度勾配電気泳動法は塩基置換の検出に適していることが判明したため,さらにミトコンドリアDNAの高度多型性領域1(mtDNA HV1)の検出に応用した。mtDNA HV1には多数のSNPが確認されているため、これまで検討してきたABO式血液型やSe式血液型の対立遺伝子判定と異なり、試料間での塩基配列の同一性を比較できるに留まる。しかし塩基置換を迅速かつ確実に検出することが可能であり、最終的にはシークエンス解析を行って型判定する必要があるが、シークエンス前のスクリーニング法として、あるいは、シークエンス彼の最終的な同一性確認法として、実際の鑑定に応用できることが確認された。
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