研究概要 |
プエラリアミリフィカ(Pueraria mirifica : PM)はタイに自生するマメ科葛属の多年草で、この地方に住む女性の間で不老長寿の民間薬として古来より珍重されてきた。この埴物にエストロゲン様作用があることが明らかにされ、主要な生理活性作用物質がmiroestrolであることもすでに報告されている。このmiroestrolについて、我々は予備実験として、エストロゲンレセプター(ER)への結合を分子生物学的手法で確かめている。そこでこのPMが、更年期障害の治療・予防に効果があることが予想されるので、乾燥粉末が健康食品として厚生労働省に認められているPMについて、更年期障害に対する代替医療として有効であるかを、ERに対する基礎的・臨床的両面から検討した。 研究に先立って学内倫理委員会の承認を得た。臨床研究としては、更年期症状はあるが、服薬等のない比較的健康な40〜50歳代の女性23人に自主的に参加して頂き、PM群、プラセボ群に分け(二重盲検法)、自覚症状、他覚症状、血圧・脈拍数、身長・体重、臨床検査(血算・生化・ホルモン・脂質)、レオロジー、脈波伝播速度の測定を行った。その結果、ホルモン、脂質の改善効果は認められたが、他の諸検査は有意差が認められなかった。投与期間が短いことも関係があると思われ、今後さらに継続していく予定である。また、PM群とホルモン補充療法群との比較も検討する予定である。 基礎研究としては、エストロゲン様作用がERに特異的であるかどうか、ER発現ベクターの代わりに種々の核内レセプター発現ベクター(TR, RAR, RXR, PPAR, ARなど)とそれぞれのホルモン応答領域を有するルシフェラーゼリポーターをトランフェクションすることにより確認し、また、ER alphaやER beta特異性があるかどうか、ERの転写共役因子との関連も解析する予定である。
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