漢方薬のもつリンパ球幼若化活性が「薬剤によるリンパ球刺激試験(DLST)」に及ぼす影響を明らかにするため、漢方薬を服用したことのない初診患者やボランティアにおいて、漢方薬に含まれる生薬に対するDLSTを測定した。平成15年度は漢方薬に含まれる代表的生薬である当帰と黄〓についてDLSTを施行した。 書面にて同意の得られた計14人に当帰と黄〓についてDLSTを施行することができた。年齢は24〜76歳で、男女とも7人ずつ。基礎疾患は多岐にわたったが、ステロイドや免疫抑制剤内服中の患者や薬物アレルギーの既往のあるものは対象から除外された。DLSTの測定は外注検査により施行され、添付した当帰と黄〓の煎じ液がフィルター濾過後に6濃度で添加され、thymidineの取り込みを測定する通常の方法でDLSTが施行された。 当帰、黄〓に対するDLSTは14人中12例(85.7%)で陽性となった。陽性者であっても好酸球増多や肝障害はみられなかった。漢方薬服用経験のない例でのDLST陽性であり、この陽性は非特異的なリンパ球幼若化活性による偽陽性と考えられた。陰性例については、当帰・黄〓とも同一の検体で陰性考示し、陰性例ではcontorolのcpmが高値を示していた。このことからも、非特異的な反応によって当帰・黄〓に対するDLSTが陽性(偽陽性)となりやすいが、contorolのcpmが高値となった場合には陰性化しやすいと考えられた。少なくとも外注検査でDLSTが施行された場合には、当帰・黄〓に対するDLSTは高率に偽陽性を示し、信頼性は極端に低いと考えられた。
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