漢方薬のもつリンパ球幼若化活性が「薬剤によるリンパ球刺激試験(DLST)」に及ぼす影響を明らかにするため、漢方薬を服用したことのない初診患者において、漢方薬に含まれる4つの生薬に対するDLSTを測定した。LSTの測定は外注検査(BML)で通常の方法で施行された。当帰と黄・については14人に、柴胡と甘草については4人にDLSTを施行することができた。ステロイドや免疫抑制剤内服中の患者や薬物アレルギーの既往のあるものは対象から除外された。それぞれの生薬(5g)は600mlの水で30分煎じられ、患者の血液サンプルとともにBML(Bio Medical Laboratories)に提出された。今回の調査は実際の臨床で施行されるDLSTへの影響を調査する目的であり、DLSTの測定は通常の方法で外注検査により施行された。当帰、黄・に対するDLSTは14人中12例(85.7%)で陽性となった。また、柴胡に対するDLSTは4人中4例(100%)で陽性、甘草に対するDLSTは4人中3例(75%)で陽性であった。陽性者であっても好酸球増多や肝障害はみられなかった。漢方薬服用経験のない例でのDLST陽性であり、この陽性は非特異的なリンパ球幼若化活性による偽陽性と考えられた。生薬に対するDLSTは高率に偽陽性を示し、信頼性は極端に低いと考えられた。
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